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『灯台守の話』を読む

『灯台守の話』ジャネット・ウィンターソン 岸本佐知子訳(白水社
 BSブックレビューで紹介されていて手に取った小説。
 物語についての物語。
 孤児になった少女シルバーが灯台守の老人ピューに引き取られる。
 ピューはシルバーに物語を語る。
 その物語が百年前の牧師バベル・ダークの愛をめぐる二重生活の物語。
 単純にバベル・ダークの物語だけにせずに、物語を語るしごとを持つ灯台守とシルバーのふたりを据えたところに小説としてとても奥行きが出ている。
 断章を積み重ねるようにして書かれた小説。
 文章の連なりが美しい。
 ブックレビューでいくつもの印象深い文章がある、と評されていたがまったくそのとおりで、じっくりじっくり嘗めるように小説を読み続けた。
 よいです。

 自分を物語のように話せば、それもそんなに悪いことではなくなる。(p35)
 お話して、ピュー。
 どんな話だね?
 ハッピー・エンドの話がいいな。
 そんなものは、この世のどこにもありはせん。
 ハッピー・エンドが?
 おしまい(エンド)がさ。(p59)

 

灯台守の話 灯台守の話
(2007/11)
ジャネット・ウィンターソン
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