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『予告された殺人の記録』に引き込まれる

G・ガルシア=マルケス 野谷文昭訳

この本も再読。だけど、かなり読み飛ばしたんだなあ。まるで覚えていませんでした。

 自分が殺される日、サンティアゴ・ナサールは、司教が船で着くのを待つために、朝、五時半に起きた。

この小説はこのように始まる。小説の第一行で殺人が予告されてもいるわけである。

こんな展開でどこまで持って行けるのか。

そのテクニックがどうなっているのかを見るために読み進めたようなものである。
サンティアゴ・ナサールの友人である「わたし」が約三十年前に起きた殺人の真相を確認しようとする試みのスタイルで小説は進む。
周りの人たちに対するインタヴュー、わたし自身の追想といったものが積み重ねられる。

事件は簡単にはこうである。
バヤルド・サン・ロマンが娶ったアンヘラ・ビカリオがその初夜、生娘でなかったことが分かり、実家に即刻返された。

彼女と通じたのがサンティアゴ・ナサールであることを知った彼女の兄である双子のパブロ・ビカリオ、ペドロ・ビカリオがサンティアゴ・ナサールを殺した。
しかし、調べれば調べるほど、そんなに簡単な話ではないことが、読者にすら分かってくる。

アンヘラ・ビカリオが通じたのはほんとうにサンティアゴ・ナサールであったのか、という最大の謎をはじめ、本気で殺すつもりだったかどうだか疑わしいビカリオの双子の兄弟がなぜほんとうに殺すことになってしまったのか。

偶然がここまで続いていいのか、等々。
サンティアゴ・ナサールが殺されることが分かっているのに、結局最後までぐいぐい読まされるストーリーのすごさにやられてしまったのでした。
もう少し細かく分析したいものです。
あと、ガルシア=マルケスの小説に出てくる男はたいていどうしようもない。

そして、女はたいていものすごい。
小説の話ではなく、現実にそうなのかも知れませんが。

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